我が家の子どもたちが通った小学校では、3年生から週に1回劇の授業がありました。毎学期終業式近くになると「劇の会」があり、全校生徒の前で各学年から1クラスが発表します。
劇の会が始まる前には子どもたちが必ず歌います。曲目はそのつど違いますが、先生のピアノが聞こえると一斉に大きな声で歌い始めるのです。
それまで、ワイワイガヤガヤ、大きいとはいえない講堂に子どもたちの声が反響して、耳を塞ぎたくなるほどうるさかったのが信じられない変わりよう。
そして、歌の終わりに、劇の始まりを知らせる銅鑼の音が「ジャーン」と響いて幕が開きます。みんなワクワクします。
この学校の劇の時間は、特別な才能を育てるためではなく、国語や数学や社会と同じように普段の授業として全員が参加します。劇でもよく歌いますが、音楽の時間もまず歌でした。楽譜が読めなくても皆大きな声で歌い、高学年になると合奏もがんばります。
歌が大好きになった子どもたちは、自発的に小さな音楽会を主催することもありました。
芸術が特別なものではなく普段の生活のなかに、身近にあることは大いなる喜びですが、それだけにとどまらず、コミュニケーションや癒し、生きる力、学ぶ力につながる可能性を感じます。
PTA活動をやりながらこうした教育を間近で見守ってきたことが、音楽をもっと身近に、ふだんの生活に取り入れて行こうという「出前コンサート」の原点になりました。
もちろん、コンサートを届けたいのは子どもたちのところだけではありません。
以前、子どものための詩に曲をつけた作品の演奏会に行った時のことです。
「子どものためのシャンソン」と銘打たれたコンサートには白髪の紳士淑女も大勢お見かけし、皆さん心から楽しんでいらっしゃる様子でした。
すぐれた演奏を聴きながら、私もいつのまにか、遠い記憶の引き出しを開けて歌の世界に共鳴していました。
誰もが、胸の奥に永遠の子ども心を持っているようです。
「永遠の子どもたち」へ、私たちは生のコンサートをお届けします。
できるだけ多くの皆様へ、できるだけたくさんの歌や演奏をお届けしたいと思っています。ご注文をお待ちしています。
壷井浩子(photo by hanayo naruoka)
株式会社ブリーズノート代表取締役
1954年生まれ。東北大学文学部卒業
20代で渡仏。帰国後、外資系ビジネスコンサルタント会社勤務の後
独立して仏語通訳翻訳業
一男一女の母。平成18年度私立成城学園高等学校父母の会会長
2010年、青山学院大学「ワークショップデザイナー育成プログラム」履修