矢郷さんのこと〜寒の入りに

 

年末に悲しいお知らせが届きました。

 

世田谷区の「起業ミニメッセ」でアドバイザーを務められていた矢郷惠子さんが亡くなられたと。

「起業ミニメッセ」とは、世田谷区の女性起業家が大集合してそれぞれの商品やサービスを紹介・販売・提供するイベントです。ブリーズノートはまだ立ち上げの前、2011年秋に初参加。その時が、矢郷さんにお会いした最初です。

 

矢郷さんは、人の活動、まちの資源、地域の経験を有機的につなげて、場を育てるコミュニティデザイナー。まだ、コミュニティやデザインという言葉が今のように語られる前から、地域で、生活者の目線で、子育てや公園、施設づくりの企画運営などに取り組んでこられました。(毎日の生活研究所 https://yagokeiko.blogspot.com

 

矢郷さんに誘われて、ジャズ・ボサノバシンガー宮崎友紀子さんのライブへ行ったのは、2013年5月のこと。この時の私は、季節外れの咳と微熱が1ヶ月以上続いていてよれよれ。でも、これを逃すのはだめだ~~~という気がして、移してはならじとマスクで出かけました。

 

お店では、小さなTV画面に、映画「死刑台のエレベーター」が流れていておしゃれ。無口なマスターはやさしそう。矢郷さんはストールをおしゃれに巻いて素敵でした。

 

梅ヶ丘のtake 5 (テイクファイブ)、地元の人が集ういいお店でしたがその後閉店。繋いで頂いた友紀子さんは、ボサノバを歌ってとてもよかった。それ以来のご縁が続いています。

 

矢郷さんの案内で、コンサートができそうなお店を覗いてまわったことも楽しい思い出。梅ヶ丘でライブやれたら楽しかっただろうな。

 

昨年、「せたがやウィメンズ・ジャズ・フェスティバル」の会場が決まった時にご報告したら、

「すごいよ、、大きな一歩だね」と嬉しいお返事。

でも次にお便りした時は、「療養中で応援十分できなくてごめんね」とメール、それでも追伸でプレスリリースのことアドバイス頂きました。

 

 

 矢郷さんに、「女子ジャズ」音楽ディレクター遠藤律子さんのCDを送りました。遠藤さんに、お見舞いに贈りたい方がいる、というと、すぐに素敵にラッピングされたCDが「プレゼントします。」と届いて感激。遠藤さんも素敵な人です。

 

お礼のポストカードを見て、矢郷さんは絵も描かれることを知りました。

 

「遠藤さんはすごい才能ですね。女性であれだけのコンビネーションを作曲するのはやっぱりすごいです。

壷井さん、疲れは取れましたか?大仕事で心も体も使い果たしたと思います。ゆっくり休んで、そんな時間持ってネ!!...」

 

 

 

絵のタイトルは「境界で羽根を拾う」(250 x 350 KEIKO・YAGO)

《景色が変わったという印は、ささやかな物事によって示される

新しい土地に入ったのか入らなかったのか、しっかりと目を見開いて...居る》

 

 

 

矢郷さん世代の女性たち、草分けとして一つ一つ積み重ねてこられました。女性のこと、子どものこと、暮らしのこと、いろいろなことを「皆のこと」として。

 

梅ヶ丘の時を除けば年に数回、イベントで言葉を交わすくらい。

ジャズフェスをきっかけに、またいろいろお話できるかと思っていたところでした。

 

早すぎるお別れの悲しみと同時に、感謝もまた胸にあふれます。

最後に頂いたアドバイスを心に刻み、「女子ジャズ」も他の企画も次につなげていきます。

 

歳を重ねるごとに、出会いへの感謝も強く感じるこの頃です。

 

今日は寒の入り。

 

「寒仕込み」という言葉があって、発酵食品である日本酒や味噌、醤油などは寒の内、極寒の時期に仕込まれ美味しくできるのだそうです。大変な作業でしょうね。厳しい寒さはつらいですけど、なくてはならぬ季節でもあります。

 

ブリーズノートは昨年もたくさんのコンサートを皆様にお届けすることができました

手間をかけてもよいものを仕込み、音楽の至福のひとときをみなさまのもとへ、たくさんの感謝とともに。今年もよろしくお願い致します。