街オペの舞台は熱いらしい。

ブリーズノート「街にオペラがやってくる!」

略して「街オペ」。愛を込めてそう呼んでいます。

 

ブリーズノートの「街にオペラがやってくる!」は、オペラを地域で気軽に楽しもう、と2014年に東京世田谷区の成城ホールから公演がスタートしました。

発想は「移動オペラ座」。

タイトルにそのあたりの思いが込められています。

目指しているのはまさに、今、私が(あなたが)楽しむオペラ。

 

 一口にオペラ、と言っても国と時代でそりゃあもういろいろです。

 

そんなことを改めて教えてくれた、雑誌「ふらんす」1月号(白水社)の特集

「フランス・オペラへの誘い」。

その流れで、Eテレ「旅するフランス語」大人のたしなみ~オペラ座の巻、即見ました。

 

何と言っても楽しいのは劇場のバックグランドツアーでしょう。

 

衣装の工房が紹介されていたけれど、すごい広さ。

定番のデザインを作るときも、職人たちには少しだけ創意工夫の余地、自由が残されている、なんて話、いいですね〜もっと続きを聴きたくなります。

 

舞台の楽しさって、衣装、メイク、美術、大道具小道具、効果、音響、照明、いろんな要素があってできあがるところ。

子どもの学芸会からオペラ座まで、規模は違っても同じです。

子どもたちの学校カリキュラムに「劇」は残してほしいなあ。

 

と、話は逸れますが、とにかくオペラ座はすごかった。

 

こちらバスティーユの新オペラ座は、ミッテランの時代に建設され、「グラン・パリ」」という、壮大な国家事業の一環としてまだ刷新が続いているというからさすがです。 

パリ緑化計画にも組み込まれていて、屋上に菜園作るらしい!?(オペラ・バスティーユ 過去から未来へ、岡田 Victoria 朋子、「ふらんす」2017年1月号、白水社) 

  

 

新オペラ座で繰り広げられる豪華なスペクタクル、想像するだけでもワクワクです。

https://www.operadeparis.fr/visites/opera-bastille/decouvrir-le-lieu

 

 

(写真はパリ・オペラ座の公式ホームページより。)

番組によれば、パリ・オペラ座のコンセプトは、「現代的で庶民的」(moderne et populaire)であること。これってつまり、「今という時代を生きる、私が(あなたが)楽しむオペラ」ということではありませんか。

 

オペラ座と競うほどの豪華スペクタクルは望めずとも、オペラの愉しさ「キモ」のようなものは込めたいものです。

 

 

街オペの魅力は豪華な出演者たちの魅力。

 

彼らと一緒に、過去2回の公演をカメラの前でオモシロ真面目に華麗に再現する紹介動画を製作、絶賛公開中です。次なる舞台はまだ少し先になるので、まずはこちらでちらりとお楽しみください。

 

ピアニストとして、現在日本にいない仲田さんに代わって大園麻衣子さんが参加、素晴らしい演奏で盛り上げてくれました。笑顔が最高。

 

「街オペの舞台は熱いらしい」 、押川さんの構成台本の最後にあった言葉です。

 

紹介動画

 出演者、それから近々に彼らに会えるオススメの公演をご紹介しますね。

ソプラノ 山口 佳子(やまぐち よしこ)

透明感のある美しい声、情感豊かな歌唱力で、明るいおきゃんな役でも、悲しみに打ち震えるヒロイン役でもぐっと聴く人の心を掴みます。「カルメン」ミカエラのアリアを大きな劇場で聞いたことがありますが、その歌声に会場がシーンと静まり返り、終わってからは万雷の拍手、感動した覚えがあります。

なつメロや童謡唱歌、邦人作品など日本語の歌も素晴らしい。爽やかなお色気で私の周りでは女性ファン多し。

3月の立川市民オペラにミカエラ役で出演。

http://www.tachikawa-chiikibunka.or.jp/a11-20170319/

 

メゾソプラノ 鳥木 弥生(とりき やよい)

 

鳥木さんも男性ファンのみならず、女性ファンが多い。長~い手足で、男装の麗人、ロシア貴族オルロフスキー、ロミオ、そりゃもうかっこいいったら、大変です。追っかけたくもなります。

カルメン、タイトルロール。舞台の上で何度刺し殺されたことか、とは確かご本人がどこかで言っていたような…今回紹介動画でも演じているので、もはやカウントできない数字になりそうです。ただいま笈田ヨシ演出の「蝶々夫人」スズキ役でまた新しい境地を開かれているかと。

「日本」のスケールで測れない人。でも金沢の人。もとい、能登の人です。国内での活動開始が岩城宏之氏指揮によるアンサンブル金沢とのコンサート(98)、2015年度岩城宏之音楽賞を受賞しています。

 

笈田ヨシ演出 プッチーニ/歌劇「蝶々夫人」全国公演、スズキ役、これから高崎、そして東京。

https://www.geigeki.jp/performance/concert099/

 

3月の立川市民オペラ「カルメン」タイトルロール。

 

日々の演奏活動はこちらのブログから。http://yayoitoriki-mezzosoprano.hatenadiary.jp

テノール 所谷 直生(ところだに なおき)

 

鳥木カルメン弥生を刺し殺す役。声も演技もリリカルで若々しい魅力に溢れていて、所谷さんのホセ、好きです。元々のホセはもっと粗野なんでしょうけど。素顔の所谷さんがいったん舞台に上がると別人のようにかっこよくなるので、いつも驚きます。ふだんがかっこ悪いわけではないですよ、もちろん。ただ全然カッコつけてないですから。

 

3月、日本オペラ協会公演 原嘉壽子「よさこい節」出演。

https://www.jof.or.jp/performance/1703_yosakoi/

最新インタビューの記事がこちらに。

https://www.jof.or.jp/performance/ciaopera/vol_08/

バリトン 押川 浩士(おしかわ ひろし)

押川さんのパパゲーノ、最高です。ブリーズノートのコンサートでは、オルロフスキーにしたたか飲まされて可愛らしかったですけど。あたたかみのあるシルキーな声。ミュージカルナンバーも素晴らしい。全員が忙しい合間を縫って集まり、熱い打ち合わせを一度はやるわけですが、それをまとめてくれる頼もしい存在です。構成のアイデアが引き出しにいっぱい。

2月東京文化会館藤原歌劇団「カルメン」、3月立川市民オペラ「カルメン」、4月藤原歌劇団公演「セビリャの理髪師」出演

 

日々の演奏活動はこちらから。http://www.geocities.jp/figarettino/

指揮者・コレペティトゥーア・ピアノ 仲田 淳也(なかた じゅんや)

ただいまウィーンでお仕事中。どんな無茶振りもポーカーフェイスで受け止めるイケメンです。

歌心に溢れた美しい演奏。オーケストラのいない「街オペ」で最初から最後まで舞台の上でピアノで伴奏、伴走、ある時は前に、ある時は後ろに。「街オペ vol.1」では、なんとソロでピアソラを演奏。

「カルメン」ハイライトの最後、カルメンとホセが言い争う場面、遠くでは華やかな闘牛士の行進が、実際にはカルメン、ホセだけで何のセットもないのですが、仲田さんのピアノだけでシーンが浮かび上がり興奮した人々のどよめきまで聞こえてくるようでした。帰ってくるのが楽しみだなあ。

 

 

こうやってご紹介すると、日本のオペラも「街オペ」も、これからますます面白くなりそうな予感がしませんか? 

熱い舞台を、どうぞ乞御期待!!