昨年、ブリーズノートは「大人の寄り道」と題して、
シリーズでコンサートを4回開催しました。
出前コンサートは、ご注文を頂いてから
オーダーメードでお作りしてお客様のところへ
お届けするものですが、このシリーズは、毎回
ブリーズノートいちおしの音楽家を招いての、
企画コンサートです。
短い時間ですが充実のプログラムとすばらしい演奏、
それに加えてヴァイオリン工房の1階にある
ラトリエ by APCという会場の魅力。
演奏家とお客様の距離がとても近く
毎回ライブ感に満ちたコンサートで
大好評です。
さて、シリーズ4回目は “Tango Night” でした。
そのご案内をさしあげた方から届いたお便りです。
「音楽すべてに音痴を自認していますが...
案内を読みながら、このボクですら、
学生だったあの頃を思い出しました。
都会、地方の、そこ、ここに
ダンスホールがいっぱい。
メリハリのよさに魅せられたタンゴ、
優雅に舞うワルツ、年代は違っても、あのリズムに
昂揚する気持ちは同じなんでしょうね。
会場で満たされた皆さんの表情が見えるようです。
参加は出来なくとも、心はほっこり。
いま、トンネルを引き返して、
青春のなかにいます。ありがとう。」
うれしいお便りでした。
そうなんですね〜。
音楽を聴いて懐かしい時代にひとっ飛び。
蘇る記憶。
音楽の「力」について語るのは
慎重に、と思いますが、
音楽が記憶とつながっているのは確かで、
聴いている人の笑顔や涙や安らぎ
あるいは昂揚につながるのかなあと思ったりします。
私にとってのタンゴは、母の記憶と重なります。
そして、母のことを考えながら母が生きた時代を思います。
1923年関東大震災の年に生まれた母は
映画と音楽が大好きでした。
年をとってからもトランジスタラジオと
カセットテープをいつも側に置いていました。
話好きの家系の母は、繰り返し繰り返し
思い出を語り、適当に聞き流していたのに
あんまり繰り返すので、
おかげで現代っ子(今や古い表現?)の私が
戦前の話にもすっと入れるという...
先日、映画「風立ちぬ」を見ましたけど
映画も強く記憶に働きかけてきますね。
もしかすると音楽以上かも。
見ている間、父と母から受け継いだ記憶が
また立ち上がってくるようでした。
戦前、戦中に青春時代を送った人たちにとって
死は常に身近なものだったと
母たちの話を聞くとわかります。
天才でなくても誰もがもっているに違いない「美しい夢」は
叶わない、そんな時代です。
見ながら号泣、というよりも
見終わってからふつふつと悲しみがわいてくるような
映画でした。
音楽や映画のなかには、時代を超えて、
歴史の教科書からはこぼれ落ちる、父や母や私のような
普通の、というか、ありとあらゆる人の記憶に
寄り添ってくれるものがあるのでしょうね。
おっと、1年ぶりのこのブログ
またまた長くなってしまいました...
ブリーズノートは2014年も
皆様に楽しんで頂けるよう
素敵なコンサートをお届けします。
そのひとときもまた、
忘れがたい時間として皆様の記憶に残るような
そんなコンサートをお届けできたらと願いながら。
今年もよろしくお願い致します。
※ 「風立ちぬ」のカットは公式サイトからhttp://kazetachinu.jp/prono.html
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