「音の森」Sympho Canvas®

会場に入ると、細い円柱形のスピーカーが12本、

行儀良く並んで出迎えてくれました。

その姿はスピーカーというよりは銀色のオブジェ。

 

 

東京、青山の国連大学1Fで開催されている

「オーガニック・ウィークエンド・シネマ」に

やって来た人たちを、音のシャワーで迎えてくれます。

 

1本1本が、生録音あるいは打ち込みの音源を

まるで一人一人の演奏家のように再生するとき、

私たちは、耳だけでなく身体全体で音楽を聴く

心地よさに目覚め、

それから「音の森」に足を踏み入れたくなり、

少しずつ大胆に、自由に歩き回り、

気に入った音の側で佇んだりするのです。

 

このシステムの考案者は宮本宰(みやもと つかさ)さん。

 

宮本さんによれば、

「私たちが生の演奏の中に身を置いて音楽を聴くとき、

耳(聴覚)でその音質だけを聴いているわけではなく、

体全体でその音場(=音のでている空間全体の“空気感”)を

感じとっています。

ヘッドホン・ステレオは、いつでもどこでも

思い立ったらすぐに音楽を聴くことを可能にし、

音楽鑑賞をとてもハンディーにしたことで、

その功績は筆舌に尽くせないほど大きいとは思いますが、

一方でそれは、体で感じる音楽の“空気感”を

忘れさせてしまったように思えるのです」

 

宮本さんは音響のプロフェッショナル。

 

手がけたコンサートやイベントは数知れず、

ABC順に、AEROSMITH, BILLY JOEL,

BOB DYLAN, BOZ SCAGGS, BRYAN ADAMS

DAVID BOWIE, DEEP PURPLE...

いや、とても書ききれないので、この辺で...。

横浜アリーナなどの設備音響も手がけています。

 

生のシンフォニー・オーケストラのリハーサル中に

プレヤーの間を歩き回ったときに経験した感動が、

シンフォキャンバス®の原点になっているそうです。

そこには音と音が絡み合って生み出される華麗な

「音の綾」があり、シャワーのように降り注ぐ

「音のきらめき」に我を忘れ、

この体験をスタッフだけでなく一般の聴衆と共有する

方法が何かないかと考えたとのこと。

 

ミキシングのプロ中のプロである宮本さんが

到達した「音場の空気感」の創出。

 

もう一度本人の言葉を借りれば、

「シンフォキャンバス®では

この音場の“空気感”に着目し、

再生音場に錯覚による定位を持ち込む代わりに

元の音場である音源と事実上同数のスピーカー音源を

配置し、電気信号レベルでのミキシングを排除し、

各音源が空気中に音として放出されたあと

空間でミックスされるという、

現実の音場の創生プロセスをそのまま取り入れ、

元の音場と相似の“空気感”を創出することを意図して

作られました。

このシンフォキャンバス®の再生音場の中を歩き回ったとき、

定位と“空気感”の違いを明確に体験することができます。」

 

他のクリエーターたちとのコラボにより、

64本のスピーカーをフルオーケストラの楽団員と

同じように配置し、各々の楽器は個別に収録した

64chマルチトラック音源で再生するコンサートが

すでに実現しています。

 

偶然居合わせたダンサーが、

音の空間の中で踊り始めたり、

子どもたちが、1本のスピーカーのまわりで

手をつないでぐるぐる楽しそうにまわり始める

といったハプニングが、シンフォキャンバス®の魅力を

語っています。

子どもたちのまわりをアルペジオがかけめぐる様子、

目に浮かびます。

 

大変な手間をかけ、技術の粋をつくして、

作り上げられた「シンフォキャンバス®」は

(宮本さん、究極のオタク、と愛情と尊敬を込めて

呼ばせていただきます)

まったく新しい、けれど本質的な音楽の楽しみ方を

教えてくれます。

 

驚きました。

 

興味がおありの方は、

「オーガニック・ミニシアター」

国連大学1F、地球環境パートナーシッププラザで、

10/8 まで毎週土曜日に開催。

 

木、金は映画の上映はありませんが、

宮本さんがいれば、音のシャワーの経験が

できるかもしれませんよ。

 

音の森シンフォキャンバスについてはこちらから

⇒ http://www.symphocanvas.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメントをお書きください

コメント: 1
  • #1

    Javier Bushong (月曜日, 06 2月 2017 14:11)


    Having read this I thought it was really informative. I appreciate you taking the time and energy to put this article together. I once again find myself personally spending a significant amount of time both reading and posting comments. But so what, it was still worthwhile!